想定外22011年05月18日 10時09分

 福島第一原発がある福島県双葉郡で過去に起きた大津波を調べてみた。
 すると、西暦869年に発生した貞観(じょうがん)津波があった。

 ウィキペディアによると、「貞観地震(じょうがんじしん)は、貞観11年5月26日(ユリウス暦869年7月9日[2]、グレゴリオ暦換算7月13日)に陸奥国東方の海底を震源として発生した巨大地震である。地震の規模は少なくともM8.3以上であったと推定されている。現在の地名では、東北地方の東の三陸沖と呼ばれる海域にある太平洋の海底が震源とされ、地震に伴う津波の被害も甚大であったことが知られている。約数十 - 百年ごとに起こる三陸沖地震に含まれるという考えから貞観三陸地震、上述の津波被害の観点から貞観津波ともいわれる。」

 マグニチュードがM8.3からM8.6で、死者は約1000人と言われている。また、仙台平野には9m程度の津波が7から8分間隔で繰り返し、襲来したと推定される。相馬市には、さらに高い津波が押し寄せたようだ。
かなり昔の事でもあり、真実はなかなか分かりづらいとも思う。科学が発達した今日でも、東日本大震災のマグニチュードは、当初発表のM7.9(5.20修正)からM8.4→M8.8→M9.0とたびたび変更された。

 双葉郡浪江町での貞観津波による堆積物調査は、東北大学の今泉俊文教授らが平成19、20年に調査をして、平成21年3月に発表している。簡単にまとめると、原発から北へ約8キロほどの浪江地区で、海岸線から約1キロほど内陸部に貞観津波によると推測される堆積物が見つかった。この調査結果は初めて発表された貴重なものである。

 しかしながら、それ以前にも東北大学の箕浦幸治教授が東北大学の広報誌『まなびの杜』の2001年夏号No.16で興味深い話を寄せている。
 「貞観津波の襲来から既に1100年余の時が経ており、津波による堆積作用の周期性を考慮するならば、 仙台湾沖で巨大な津波が発生する可能性が懸念されます。(途中略)しかし、海岸域の開発が急速に進みつつある現在、津波災害への憂いを常に自覚しなくてはなりません。 歴史上の事件と同様、津波の災害も繰り返すのです。」

 確かに起きてから指摘することは誰にでもできます。しかしながら、こうして津波発生前に危険性を指摘している人もいるのです。絶対安全と言うからには、マニュアルどおり設計するだけでなく、心を込めて設計することの方が大切ではないでしょうか。あと15メートル盛り土をして、コンクリで固めてその上に発電所を建設したところで、いくらコストが増えたでしょうか。

想定外32011年05月20日 16時00分

 原発事故での想定に対しては、共産党の吉井英勝議員が今から5年前の内閣委員会で電源喪失時の想定に対して、当時の原子力安全委員長の鈴木氏に次の質問をしている。

 「実際には九九年の志賀一号だとか、八八年の志賀二号とか、九九年二月や九八年十一月の敦賀の事故とか、実際に、バックアップ電源であるディーゼル発電機自身が事故をやって働かなくなった、あるいは、危ないところで見つけはしたけれども、もし大規模地震と遭遇しておれば働かなかったというふうに、配管の切断とか軸がだめになっていたものとかあるわけです。(途中略)
それで、日本の原発の約六割は、バックアップ電源は三系列、四系列じゃなくて二系列なんですね、六割は。そうすると、大規模地震等によって原発事故が起こったときに、本体が何とかもったとしても機器冷却系に、津波の方は何とかクリアできて、津波の話はことしの春やりましたけれどもクリアできたとしても、送電鉄塔の倒壊、あるいは外部電源が得られない中で内部電源も、海外で見られるように、事故に遭遇した場合、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷却系などが働かなくなるという問題が出てきますね。このときに原子炉はどういうことになっていくのか、この点についての原子力安全委員長の予測というものをお聞きしておきたいと思うんです。
 それが一点と、もう一点は、機器冷却系が働かないと当然、崩壊熱の除去ができませんから、崩壊熱除去ができないことになったときに、核燃料棒のバーンアウトの問題、これは海外でそういう例もありますけれども、こちらの方はどうなっていくのかという原子炉の安全にかかわる問題について、この場合、どのように想定して、そして審査を進めておられるか、これを伺います。」

 長い引用になったが、重要なのでご容赦ください。
 こうして非常用ディーゼル発電機や核燃料棒の溶融(メルトダウン)の話を平成18年にしている。
 私は共産党が好きではないが、非常に良い仕事をされていると思った。日本共産党の名称を変えるなら応援してもいいかなと思った。自由庶民党とか?庶民主党とか?余分な話だが。
方や原子力安全委員長の回答は、多重事故に対してほとんど何も想定していなくて、まともな答弁になっていなかった。過去にされた検討で十分というわけだ。火中の栗を拾いたいという前向きさのかけらも無い。何も起こらずに過ぎてしまえばいいとしか思ってないようだ。
これじゃー専門家に任しておけない。一般人が立ち上がるしかない。

 こんな意味の無い回答しかできないような原子力安全委員ってどうかなと思うし、国家の安全に関わる仕事をしているのだから、誰にも言い訳をすることのないよう務めてもらいたい。ちょくちょく国会中継を見ているが、それにしてもまともな答弁ができない人が多い。その道の責任ある第一人者なのに。給料泥棒と言っておく。