アイスランドと韓国の場合2011年08月13日 20時30分

アイスランドの場合

アイスランドの場合

 

さて、デフォルトがどんな状況で発生したのか、アイスランドの場合から見てみよう。アイスランドの場合のデフォルトは、特に国債の債務不履行が原因ではないが、ごく最近の出来事で記憶に新しく、デフォルト前の華々しさから取り上げた。

 

 アイスランド共和国は、イギリスの北西に位置する北大西洋上の小さな島国で、人口は32万人と埼玉県越谷市と同じ位だ。このような小さな国に外国から莫大な資金が流入し、一時はアイスランドの銀行の総資産額がGDPの10倍にも達し、金融王国とまでもてはやされた。しかし、サブプライム問題が発覚すると、外国資金はあっという間に逃げてしまった。サムライ債のデフォルトなど借りた資金を返せなくなり、2008年10月に破綻した。

 

その後のアイスランドは、IMFの管理の下で耐乏生活を余儀なくされている。GDPは2009年マイナス6.5%(前年比)、失業率も2010年には、10%に近づいている。ただ、2008年には18%に達したインフレ率[図表1―1]も、このところ落ち着きを見せ、ハイパーインフレにはなっていない。

 

韓国の場合

 

韓国の場合の破綻も、特に国債の債務不履行が原因ではないが、お隣の国であって、経済発展も著しいので取り上げた。

 

韓国の場合もアイスランドと同様に海外からの多額の融資を受けながら経済成長にまい進していた最中に、中堅財閥の韓宝グループから始まった破綻が相次ぎ、ついに起亜自動車の経営危機が表面化した。そして、企業の破綻が続く中、1997年のアジア通貨危機が起きてしまい、結局IMFに援助要請をする他なくなった。よって厳密にはアイスランドとは相違するかもしれないが、厳しいIMFによる統制を受けたことには違いない。IMFによる統制により起きた出来事を総称して「IMF危機」と呼んでいる。

 

IMFにより市場開放を迫られ、多くの主力銀行に外国資本が参入して牛耳られ、倒産、失業、財閥解体などに直面した。銀行間取引金利が1年前に比べて約3倍の27%になった他、通貨ウォンは米ドルに対して約半分の価値になり、失業率も通常2~3%なのが、1998年には7%台まで上昇した。

 

株価も下落を続け、韓国株価指数が1100を超えていた1990年代半ばから数年で株価は約4分の1になった。1998年の実質経済成長率はマイナス5%を下回り、前年から10%以上も急落した。1人あたりのGDPも1996年には1万2000ドルを超えていたのに、1998年には8000ドルを割り込んでしまった。

 

ただ、韓国のインフレ率(前年比)[図表1―2]は、1997年に6%を超え若干増加したものの直ぐに1~3%台に戻り、やはりハイパーインフレにはなっていない。

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