アサブロ1周年記念-「想定外」2012年01月19日 20時10分

1月23日(月)に政経ネット・ブログの1周年を迎えるので、1年間を振り返ってみようと思う

 

1月23日(月)に政経ネット・ブログの1周年を迎えるので、1年間を振り返ってみようと思う。

 

最初のシリーズ物は「想定外」である。想定外~想定外3まで、かなり力を入れて書かせてもらった。

今思い返してみても、基本的に自己の主張は間違ってはいないと思うが、原子力安全委員会の一元委員長に責任を押し付けても何もならない。国民全員で反省する必要があるのではないか。

だからこそ、私は最近、「原発は止めよう」と主張をしている。

想定外2で「15メートル盛り土をして」と書いたが、専門家から固い岩盤の上にしか原発は作れないよと笑われそうだが、そこで話を切られてしまうと、こうした想定外なことが起きるのである。何か方法があるのではないか。少々海から離れたっていいではないか。実際、原発大国フランスでは、川沿いに立地していることが多く、海岸沿いに立地する原発のほうが少数派である。

 

フランス原発の立地(http://www.rist.or.jp/atomica/data/fig_pict.php?Pict_No=14-05-02-02-05

 

最初から、住人が少ない場所を探して原発を集中的に作り、半径30キロ圏内に住んでいる人には、極力移り住んでもらった方が良かったのではないか。など、いろんなやり方があると思う。

 

想定外-2011.4.26

東日本大震災が原因による津波被害、想定外と簡単に済ませていいものか?
福島第一原発の津波の想定は、何と5.7メートルであった。
実際には、その3倍の15メートルの津波が襲った。
筆者も犯人探しは好きではないが、やはり今後同様の問題が起こらないように
なぜ、こうした想定外が起きてしまったかを検証する必要は絶対にある。

 まずは、東電は当然だし、政府や官僚も範疇に入る。
あと、原子力安全委員会と原子力安全・保安院はどうなのか、という問題がある。

 原子力安全委員会は内閣府に所属し、保安院や文科省がきちんと役割を果たしているかを点検・確認している。元東京大学教授の斑目委員長ら5人の委員は、原子炉や放射線の専門家で、核燃料・廃棄物などの取り扱いや運転時の安全確保などに必要な規則の元となる方針を示す。今回の福島第一原発での事故では当初、「姿が見えない」と批判された。

 もう一つの原子力安全・保安院は経済産業省に所属していて、西山審議官が毎日テレビで説明しているのが印象的だ。当初は名前が分からなかったが、途中から堂々と表示され始めた。原発が法令通りに安全を守っているかを点検し、指導するのが役目だ。原子力安全・保安院のホームページには、原子力安全委員会との役割分担として「ダブルチェック」をしているとの記述があったが、下手をするとどちらも相手をチェックできない状況におちいり、責任の所在がはっきりしないのではないか。

 こう見ると、どちらに責任があるのか分かりづらいのだが、原発設計時の安全確保に責任があるのが、原子力安全委員会の方かと判断される。立地の安全性、原子炉・建屋の安全性、非常時の電源バックアップなどシステム設計全般に対する責任の所在は、この原子力安全委員会が担ってきたものと思われる。

 この原子力安全委員会の元委員長がテレビや新聞のインタビューに出ていたのが印象的だ。なかなか出づらいだろうと思われる。2000~2006年に委員長のポストについていたのが京大卒の松浦祥次郎氏だ。津波に対する基準が甘すぎたことを本人も認めていたのは正直で好感が持てたのだが、今回の津波に匹敵する津波が過去に起きていたことを警告する研究者がいることを最近になって知った、と答えていたのには正直驚いた。
 絶対安全だという神話が、この程度の認識で委員長をしていた人が関わっていたことに筆舌に尽くせない憤りを感じる。ただ、この人一人に責任を背負ってもらおうなどとは思わない。東電の歴代社長にしたって、津波の想定を見直すチャンスを見逃していた。経済的な理由からなのだろうか?そして取り返しの付かない事態に陥ってしまった。

 そして、原発を推進した政治家や政府も、またその政治家を選び原発なしにはいられないほど電気を消費する我々一般人もすべてに責任があるのではないか。一体、東京を始め、関東で消費する電力を東北電力管内の福島で発電しているのはどうなのだろうか?

 東日本大震災で巨大津波が発生したが、津波研究者が過去に起きた最大の津波を想定したシミュレーションを行い、その結果が出たときにあまりにも悲惨な結果だったので、そのままでは公表できなかったと述べていた。
 平和に暮らしているときに、悲惨なシミュレーションを見せられても怒り出す人さえいる。当該研究者は結果をそのまま発表するべきであっただろうか。
 難しい判断である。

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想定外2-2011.5.18

福島第一原発がある福島県双葉郡で過去に起きた大津波を調べてみた。
すると、西暦869年に発生した貞観(じょうがん)津波があった。

 ウィキペディアによると、「貞観地震(じょうがんじしん)は、貞観11年5月26日(ユリウス暦869年7月9日[2]、グレゴリオ暦換算7月13日)に陸奥国東方の海底を震源として発生した巨大地震である。地震の規模は少なくともM8.3以上であったと推定されている。現在の地名では、東北地方の東の三陸沖と呼ばれる海域にある太平洋の海底が震源とされ、地震に伴う津波の被害も甚大であったことが知られている。約数十 - 百年ごとに起こる三陸沖地震に含まれるという考えから貞観三陸地震、上述の津波被害の観点から貞観津波ともいわれる。」

 マグニチュードがM8.3からM8.6で、死者は約1000人と言われている。また、仙台平野には9m程度の津波が7から8分間隔で繰り返し、襲来したと推定される。相馬市には、さらに高い津波が押し寄せたようだ。
かなり昔の事でもあり、真実はなかなか分かりづらいとも思う。科学が発達した今日でも、東日本大震災のマグニチュードは、当初発表のM7.9(5.20修正)からM8.4→M8.8→M9.0とたびたび変更された。

 双葉郡浪江町での貞観津波による堆積物調査は、東北大学の今泉俊文教授らが平成19、20年に調査をして、平成21年3月に発表している。簡単にまとめると、原発から北へ約8キロほどの浪江地区で、海岸線から約1キロほど内陸部に貞観津波によると推測される堆積物が見つかった。この調査結果は初めて発表された貴重なものである。

 しかしながら、それ以前にも東北大学の箕浦幸治教授が東北大学の広報誌『まなびの杜』の2001年夏号No.16で興味深い話を寄せている。
 「貞観津波の襲来から既に1100年余の時が経ており、津波による堆積作用の周期性を考慮するならば、 仙台湾沖で巨大な津波が発生する可能性が懸念されます。(途中略)しかし、海岸域の開発が急速に進みつつある現在、津波災害への憂いを常に自覚しなくてはなりません。 歴史上の事件と同様、津波の災害も繰り返すのです。」

 確かに起きてから指摘することは誰にでもできます。しかしながら、こうして津波発生前に危険性を指摘している人もいるのです。絶対安全と言うからには、マニュアルどおり設計するだけでなく、心を込めて設計することの方が大切ではないでしょうか。あと15メートル盛り土をして、コンクリで固めてその上に発電所を建設したところで、いくらコストが増えたでしょうか。

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想定外3-2011.5.20

 原発事故での想定に対しては、共産党の吉井英勝議員が今から5年前の内閣委員会で電源喪失時の想定に対して、当時の原子力安全委員長の鈴木氏に次の質問をしている。

 「実際には九九年の志賀一号だとか、八八年の志賀二号とか、九九年二月や九八年十一月の敦賀の事故とか、実際に、バックアップ電源であるディーゼル発電機自身が事故をやって働かなくなった、あるいは、危ないところで見つけはしたけれども、もし大規模地震と遭遇しておれば働かなかったというふうに、配管の切断とか軸がだめになっていたものとかあるわけです。(途中略)
それで、日本の原発の約六割は、バックアップ電源は三系列、四系列じゃなくて二系列なんですね、六割は。そうすると、大規模地震等によって原発事故が起こったときに、本体が何とかもったとしても機器冷却系に、津波の方は何とかクリアできて、津波の話はことしの春やりましたけれどもクリアできたとしても、送電鉄塔の倒壊、あるいは外部電源が得られない中で内部電源も、海外で見られるように、事故に遭遇した場合、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷却系などが働かなくなるという問題が出てきますね。このときに原子炉はどういうことになっていくのか、この点についての原子力安全委員長の予測というものをお聞きしておきたいと思うんです。
 それが一点と、もう一点は、機器冷却系が働かないと当然、崩壊熱の除去ができませんから、崩壊熱除去ができないことになったときに、核燃料棒のバーンアウトの問題、これは海外でそういう例もありますけれども、こちらの方はどうなっていくのかという原子炉の安全にかかわる問題について、この場合、どのように想定して、そして審査を進めておられるか、これを伺います。」

 長い引用になったが、重要なのでご容赦ください。
 こうして非常用ディーゼル発電機や核燃料棒の溶融(メルトダウン)の話を平成18年にしている。
 私は共産党が好きではないが、非常に良い仕事をされていると思った。日本共産党の名称を変えるなら応援してもいいかなと思った。自由庶民党とか?庶民主党とか?余分な話だが。
方や原子力安全委員長の回答は、多重事故に対してほとんど何も想定していなくて、まともな答弁になっていなかった。過去にされた検討で十分というわけだ。火中の栗を拾いたいという前向きさのかけらも無い。何も起こらずに過ぎてしまえばいいとしか思ってないようだ。
これじゃー専門家に任しておけない。一般人が立ち上がるしかない。

 こんな意味の無い回答しかできないような原子力安全委員ってどうかなと思うし、国家の安全に関わる仕事をしているのだから、誰にも言い訳をすることのないよう務めてもらいたい。ちょくちょく国会中継を見ているが、それにしてもまともな答弁ができない人が多い。その道の責任ある第一人者なのに。給料泥棒と言っておく。