『福島原発事故 独立検証委員会』を読んで ― 2012年05月14日 17時09分
事故調の報告に関しては非常に関心があり、4月5日のブログでも取り上げた。
他にも事故調はいくつもあるが、民間事故調は誰に気兼ねすることも無く、事故の原因と責任の所在を明確にできる点で期待を掛けていた。
菅前総理のやり方から始まり、姿の見えない保安院、信頼できない斑目原子力安全委員長に対して、痛烈な批判を展開している点は納得できた。
原子力安全委員会の最大の責任は、1990年策定の「長時間にわたるSBO(全交流電源喪失)は送電線の復旧または非常用交流電源設備の修復が期待できるので、考慮する必要はない」と言い切ってしまった点である。ここまで言い切るのにどれだけの検討時間をかけたのだろうか?
さらに、福島でシビアな事故に至った原因の一つとして、1号機のIC(非常用復水機)がフェイルセーフで動作停止していることに気がつくのが遅れてしまい、その後の有効な対策に移れずに水素爆発させてしまったことである。この後、すべてが「後手後手」に回ってしまい、3号機、4号機の水素爆発へとつながった。
7頁に日本社会の「空気を読む」気性にからめて、「リスクの高い大型で複雑な技術を運営する資格はありません」と、日本社会には原発は無理だと宣言したことは重要である。空気を読んでいる暇があったら、一人でも正しい道を進むような気概を持った体質でないと、原子力は扱えませんということだ。
今回うまく機能しなかった原子力安全委員会と保安院をなくし、原子力規制庁を創設するのはいいが、それも出来ないうちに原発の再稼動にゴーサインは出せないでしょう。
単に新しく組織を作ったことで、もういいと終わりにしないで、すべての始まりと考えて真に機能する組織としてほしい。
他の事故調の報告書が出たら、また報告します。
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コメント
_ 奔放な旅人 ― 2012/05/15 22:22
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