キャピタルフライトと第4章のまとめ2011年08月23日 20時32分

キャピタルフライト

キャピタルフライト

 

しかしながら、日銀によると2010年10月末の国内銀行(海外銀行の在日支店を含む)の個人の外貨預金の残高は5兆3116億円と、2005年8月以来の高水準となった。さらに大和證券によると、2010年4~6月まで2割程度だった株式委託手数料に占める外国株の割合が、7月以降は4割を上回ってきているなど、外貨預金や外国株の購入に個人資産が向かい始めたのは興味深い。逆に、2010年10月末の国内銀行の円定期預金残高は198兆円で、7月から4ヶ月連続で減少した。少しずつではあるが、外貨預金や外国株式の売買などキャピタルフライト(資本逃避)的な動きが出始めたことは要注意である。若干始めるのが遅かったかもしれないが、筆者も最近、中国株の取引を始めた。

 

貯蓄性向が高かった日本人だが、このところ急激に低下してきた。[図表4―1]によると、20%近くあった貯蓄率も、2009年には2.3%まで低下してきた。個人の貯蓄が少なくなると、国債の購入資金が減少することにつながる。そうなると、企業の収益改善(経常収支の黒字)だけが頼りとなる。

 

第4章のまとめ

 

デフォルトへの対としては海外移住しか考えられない。リスクを承知した上で、ある程度のお金持ちであることが条件だ。日本に生活基盤があるうちはどうにもならない。必ず破綻に巻き込まれる。海外に永住し、働いて稼いでその国に納税する。そして、たまに日本に帰っては安くなった資産を購入し別邸として暮らすのもいいかもしれない。税金は1年のうち最も長く暮らす国に納税すればいいので、日本で暮らす日数を半年未満にしておけばいいのだ。

 

ただ、「住所」は、国税庁の通達で「生活の本拠」と規定しているだけで、明確な判断基準を示していない。そうしたことも関係して、「武富士」創業者の長男の元専務に対して、贈与税の節税対策のために海外移住をして、海外に住んでいる日数が65%なのにもかかわらず、税金逃れは違法として課税をしたことに関して最高裁は、課税は違法との判決を行った。

すなわち、住所は居住日数などの客観的事実に基づいて認定すべきで、「租税回避目的」といった主観的な要素で判断することは許されないとした。

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